2006/05/ 4 光触媒応用にあたっての紫外線の危険性 光触媒とは?

室内において光触媒が有機物質分解効果や抗菌効果を発揮するためには、前述の通り光(紫外線)がどうしても必要になります。そこで人工的に紫外線をあてることを考えるようになるわけですが、実はそこにも問題点が発生してきます。
トイレの抗菌・消臭の目的で光触媒を壁や天井、床、便器等にコーティングします。そして部屋全体にブラックライト等で紫外線を照射すると確かに効果を発揮しますが、ここで問題になるのが照射する紫外線の危険性です。
紫外線には、波長によって長波長紫外線、中波長紫外線、短波長紫外線の3つがあります。
長波長のものは日焼けを起こす程度のものですが、これに対して中波長以下の紫外線は皮膚に炎症を起こしたり皮膚ガン発症の原因になったりする危険なものです。

地球を取り巻くオゾン層が紫外線から地球を守ってくれていると言う話しを聞いたことはありませんか。オゾン層が吸収する紫外線は中波長以下(380nm以下)の危険な紫外線です。
最近、フロンガスによってこのオゾン層が分解され、危険な中波長以下の紫外線が地表に届きやすくなり環境問題となっています。

人の体内には多かれ少なかれ活性酸素が存在します。活性酸素と言うと悪者の代名詞のように思われるかもしれませんが、体内に侵入する細菌を撃退する免疫システムで重要な役割を果たしています。白血球やマクロファージが細菌を攻撃する際の武器となるのです。

皮膚の下にも過酸化水素(H2O2)などの活性酸素が存在しますが、これに波長380nm以下の紫外線があたると、非常に酸化力が強く毒性の高いヒドロキシラジカル(OH)に変化します。
この強力な活性酸素ヒドロキシラジカルが近くにあるたんぱく質や細胞を破壊するため、皮膚に炎症やシミが発生し、最悪の場合皮膚がんを発症させるのです。

光触媒反応に必要とされる紫外線も実は380nm以下の紫外線です。これを人が生活している室内に人工的に照射することは大変危険なことですが、実際、このような方法で光触媒が応用されている現実もあります。